漆の面白さを追いかけて。
技を重ねて、広がる表現。
香川漆器
橋本康太(さぬきうるしSinra)
漆の仕事と建築士。二つの道を歩みながら、ものづくりを続けてきた橋本康太さん。15歳で出会った漆に魅せられ、技を学んだ。その後、建築の世界へ進むも「さぬきうるしSinra」で再び漆の世界へ。2026年2月には県伝統工芸士に認定され、今も技を磨きながら、漆器の未来を考えている。
漆漬けの日々のはじまり。
父が石川県出身で、漆器を普段から使っていたので、漆は身近な存在でした。ですから、工芸高校では自然と漆芸科を選びましたね。定時制だったこともあって、昼間も漆に触れられたらええかなと、漆工房へ就職しました。そこで、技術の基礎を学ぶと同時に、漆の面白さを教えてもらいました。昼は職人として働き、夜は学校へ。朝から晩まで漆に触れる日々のなかで、どんどんその世界に魅了されていきました。
何気ないところにある美しさを知る。
昼休みや休日には、美術館や図書館に通って、玉楮象谷(たまかじぞうこく:香川漆芸の祖)などの作品を見て「どういう風につくっているのかな」とずっと考えていました。漆芸研究所の先生からは「常にアンテナを張って、何がきれいで、何がきれいでないかを考えなさい」と言われたことも、強く印象に残っています。何気ないところに、ほんまの美しさがある。そんなふうに、ものを見る目を持つことは、今でも大切にしていますね。
伝統工芸の灯を消さないために。
香川漆器は、他県の漆器に比べて華やかで、色鮮やか。五つの技法があり、漆でこんなにもいろいろな表現ができるのかと、惹かれました。私のように香川漆芸に魅せられて、漆を学ぶ学生も多い一方で、仕事にしていくのが難しいのも事実です。漆屋が減っていく中で、香川の産業として残していくためにも、同じ想いを持つ「さぬきうるしSinra」でこれからの漆のあり方を考え続けていきたいですね。
木地をつくる職人が減り、材料となる木も手に入りにくくなっている。それでも橋本さんは、今あるものを修復し、建築で出た廃材も活用するなど、これからの可能性を探っている。「漆と建築、これからも両方やっていきたい」。二つの道を歩んできたからこそ見えるものを、これからのものづくりに生かしていくという。
さぬきうるしSinra
〒761-2101 香川県綾歌郡綾川町畑田3399
TEL 087-810-1327
URL https://sinra.official.ec/
漆の建築工房
高松市香川町川東上566-64
TEL 080-6374-9615