お客様の声に耳を傾けてつくる
新たな漆器のかたち。

香川漆器
中田可奈子(中田漆木)

工房の横に立つ大きな漆の木が目印の中田漆木は、80年以上続く香川漆器の工房だ。3代目の大輔さんとともに制作を行っているのが、妻の伝統工芸士・中田可奈子さん。愛媛県から「四国の工芸品を後世に残したい」という思いを胸に移り住み、漆に携わってきた。可奈子さんが得意とするのは漆絵。自身の名前を冠した「かなこ箸」をはじめ、暮らしに寄り添う小物づくりに取り組んでいる。

もっと暮らしに寄り添えるものを。

手に職をつけたいと考えていた時に、香川漆器に出会いました。香川県漆芸研究所を卒業後、結婚を機に中田漆木で働き始めました。当時は、自然木を活かした大きな家具や額などを主に制作していましたが「もっと日常で使ってもらえるものを作りたい」と思い、誕生したのが「かなこ箸」です。一本一本に季節の絵柄を描いたり、香川特有の色漆を使うことが楽しくて、夢中で制作をしていました。

お客様との会話を大切にしたい。

工房で制作しているだけでは、分からないことも多いです。だからこそ、イベントなどでお客様と直接話せる機会を大切にしています。「こんなモチーフを描いてほしい」「孫へのプレゼント用に、両端に持ち手をつけてほしい」。そんな会話の中から、生まれた商品もありました。難しい注文もありますが、義父からの「来た仕事は断るな」という教えを胸に、一つひとつ丁寧に向き合っています。

漆器のイメージを変えたい。

仕事を始めた頃、義父から「目の前にあることを一つひとつ確実に」と言われました。漆器は工程が多く、最初をおろそかにすると、後に響きます。それに、丁寧に下地を塗ったものほど長持ちします。漆器の扱い方が分からないという声も聞きますが、決して難しいものではありません。そんな扱いにくいというイメージを払拭し、幅広い年代の人に、使ってもらえるようなものを作っていきたいです。

細い箸に、繊細な柄を描いていく中田さん。漆は時間とともに色が変化するため、完成形をイメージしながら、自ら調合して色を作る。そうして生まれた箸は、食卓にさりげない華やかさを添えてくれる。そこには「毎日使うものだからこそ」という思いが行き届いた、中田さんのこだわりが息づいている。


中田漆木
〒760-0068 香川県高松市松島町3-17-28
TEL 087-861-6496  
URL https://nakata-shikki.jimdofree.com/

香川で生まれるもの:つくるひと