石は時を超えて人をつなぐ。
だからこそ心に寄り添い、想いを刻む。
庵治産地石製品
山田浩之(山田忠石材店)
石屋に生まれたからには自分の手で石を刻みたい、と語る伝統工芸士・山田浩之さん。他ではできない仕事も頼める、と信頼を寄せる人も多い。その仕事ぶりを支えるのは高い技術力だ。しかし、それ以上に大切なのは「お客さんの気持ちに耳を傾けることだ」と言う。石は正直な素材で、心からの仕事をすれば、必ず応えてくれる。その信念のもと、若き息子・海統さんと共に、今日も石に向き合っている。
彫るのは、かたちではなく、想いです。
ある方が息子さんを亡くされて、供養のために地蔵仏を作ってもらったものの、どうも似ていない、と。しかしせっかく作ってもらったものを無下にもできないと悩まれ、彫り直しを頼まれました。息子さんはとても優しそうなお顔でした。その表情をどうにかこのお地蔵さんに込めてあげたい、ご家族の気持ちを受け止めたいと、一生懸命取り組みました。大層喜んでもらえて、それ以来長い付き合いが今も続いています。自分の腕が誰かの心の助けになる、そんな仕事をずっと続けていきたいですね。
つくるよりも、石の声を聴く。
石というものは無機質なだけに、嘘がつけないですね。石は歳月を経てこそ存在感、重量感が出てくるものです。僕ら職人が手を入れられる範囲というのは限られている。何百年も経って最後に残るのはね、庵治石そのものが持っている光なんですよ。僕らはそれを手助けするだけなんです。叩き仕上げ※の庵治石は、何十年と経っていてもキラキラと輝いていて、本当にきれいだなと思います。
※表面を叩くように削り凸凹にする仕上げ
石に心を刻み、未来へ残す。
石は作って終わりではなく、お客さんの手元に渡って、そこから何代も一緒に生き続けるもの。その責任感は感じています。特に石彫は一つひとつがオーダーメイドで、今まで経験がないような要望が来ることもあります。大変ですが、反面楽しい部分でもある。見た人が幸せになるようなものを作れたら本望です。
「いつか息子の仕事を手伝うのが夢」と微笑む浩之さんと「父の情熱、探求心は真似できない」と感嘆する海統さん。数々の職人の手を経て、山から工場までやってきた庵治石。「自然からいただいたものを無駄にはしない」と、多くの人々の想いを背負い、日々ノミを振るっている。
山田忠石材店
〒761-0121 香川県高松市牟礼町牟礼 2699-5
TEL 087-845-1921