手彫りで魅せる石灯籠の美しさと、
次世代の職人育成にかける熱い想い。

庵治産地石製品
白井保浩(白井文雄石材店)

庵治石(あじいし)の産地である高松市庵治・牟礼(むれ)町には石材加工に関する事業者が集積し、多くの職人が集まっている。そんな産地でただ一人、灯籠を専門に手がける石工が伝統工芸士・白井保浩さんだ。昔ながらの手彫りを駆使した灯籠は、どこから見ても美しい佇まい。全国各地からの注文に応えるかたわら、後進の育成や地域での教育など、産地全体の発展にも力を注いでいる。

手彫りでしか表現できない美しさ。

灯籠は曲面が多く、手彫りでなければ微妙なアールを表現できません。例えば傘の部分。手で丸めるからこそ柔らかさが出せます。左右の対称なども手の感覚で確認していきます。灯籠は昔から型や作り方が変わりません。高さ数mと大きなものも基本のつくり方は同じ。曲面は手彫りで表現します。自分の技術には絶対の自信があります。でも数年経って改めて見たら反省が出てくる。その繰り返しです。

やる気ある若手職人を、力強く支えたい。

石材組合の青年部長になったとき、真っ先に「若手を増やそう」と考えました。彼らに一級技能士資格を取ってもらおうと思ったとき、教えてくれる人が誰もいなかった。やる気があるのに周囲が支えられなければ、産地の将来が危うい。それから後進育成に力を入れるようになりました。技能五輪で優秀な成績を収めた職人も何人もいます。当時の若手が今は中堅となって産地を支えていますよ。

庵治石の産地を誇りに思ってほしい。

毎年、地元の小学生が工場見学に来て、目をキラキラさせて質問してくれます。県内各地に出張授業にも行きます。庵治石の文鎮を磨いて、持ち帰ってもらうんです。磨いた庵治石の輝きは何年経っても鈍りません。それを日々手元で見て「庵治石っていいな」と感じてほしいですね。こうしたことを通じて、自分の住む地域の見え方が変わっていってくれたら、こんなに嬉しいことはありません。

「育てることが楽しい」と笑う白井さん。昔ながらの“見て盗め”の姿勢ではなく、全体の工程をあらかじめ示し先々の見通しが立つような指導を心がける。「教えることで技術の確認になるし、自分の気づきにもつながっている」。様々な加工技術が要される灯籠作り。その技が庵治産地の次世代を支えていく。


白井文雄石材店
〒761-0130 香川県高松市庵治町1964-2
TEL 087-871-2889

香川で生まれるもの:つくるひと