木型を「残っていく工芸」に。
この面白さを世界中に広げたい。

菓子木型
市原吉博(木型工房 有限会社市原)

和菓子づくりに欠かせない道具・木型。この木型を彫る職人は全国にごくわずかしかいない。その一人、伝統工芸士・市原吉博さんは、朝から晩まで木型を彫りながら情報発信も欠かさず、「木型のことを教えて」と呼ばれれば、世界中どこへでも飛んでいく。その姿は年を追うごとにますます身軽に見える。チャーミングな人柄と、その手から生まれる美しい木型。どちらもとても魅力的だ。

ずっと続けてきたから、自分だけになった。

人はよく「木型の職人さんはあなた一人だけでしょう」と言いますが、それは違います。もっとたくさんいた時代もありました。最後の一人になるまで頑張って続けてきたんです。「NO」と言えないアーティストが職人です。「嫌だ」と言わない。どんな要望にも応え、色々なことも乗り越えてきました。伝統工芸だからといって特別なわけではありません。いい仕事をしないと続かない。並々ならぬ努力を積み重ねて今があると自負しています。

世界中に木型のおもしろさを伝えていく。

SNSを初期から使い、日々の仕事ぶりを発信しています。SNSは紙芝居のようなもの。分かりやすく木型の魅力を伝えることで、面白いと感じて現地に来てもらい、最後には購入に至ってくれればと思っています。私の投稿を見て世界中の人が工房まで見学に来てくれます。一人でも多くの人の役に立つなら、木型のPRにつながるならばこんなに嬉しいことはありません。

古い型を直し、残していきたい。

木型のモチーフは花鳥風月が一般的。要望に応じてオリジナルの型や校章などどんなものでも対応します。持っている彫刻刀は数えきれないほど。樹齢100年超の桜を使い、凹凸が逆になるよう考えながら彫っていきます。夢は、古くなった型を直し、複製して残していくこと。今でも時々、寺社の供物用の木型の修理を頼まれることがありますが、もっと多く直していけたらと思っています。

軽妙なトークでいつも話題に事欠かない市原さん。多くの人の心を惹きつけるのは、何よりも職人としての腕があるからこそ。市原さんの木型から生まれる和三盆の干菓子は、小さくて甘くて宝物のようだ。干菓子づくりの体験ルーム「豆花」を営む娘・上原あゆみさんと共に、木型の世界を広げている。


木型工房 有限会社市原
〒760-0072 香川県高松市花園町1丁目7番30号
TEL 087-831-3712
URL https://www.kashikigata.com/

香川で生まれるもの:つくるひと