使い続けることで深みが増す。
世代を超えて受け継ぎたい工芸品
肥松木工品 有岡成員(クラフト・アリオカ)
讃岐式ろくろがカタカタと回る工房。ここでは、樹齢数百年に及ぶ松の中心部「肥松」を使った工芸品が生み出されている。光にかざすと赤く透けるほど、たっぷりと脂を含む肥松。そのため、肥松の工芸品はしっとりとした手触りで、時間と共に色味が深まっていくのが特長だ。肥松木工品を手がけている伝統工芸士・有岡成員さんは「今ある工芸品を大切に受け継いでほしい」と語る。
父から受け継いだ、肥松の仕事。
戦後間もない頃、父が途絶えかけていた肥松木工を復活させ、クラフト・アリオカを立ち上げました。子どもの頃から、父の仕事を手伝っていましたが、大学卒業後は全く別の道に進みました。ですが、27歳の時に戻り、本格的に肥松木工品に携わるようになりました。工程自体は昔から変わらないけれど、道具の精度が時代と共に上がっているので、それに合わせて作り方も少しずつ変えてきました。
まずは自分で使ってみる。
肥松は、木地を仕上げるとそのまま使えます。なので、新しいものを作ったときは、まずは自分で使ってみるようにしています。実際に使ってみると、どこが良くて、どこに違和感があるのかが分かります。できたからといって、そのままお客様に渡すことはしません。不快な思いをするのは使う人ですから。まずは自分が試し、よかった点や直した方がいい点を考えながら仕上げています。
時間とともに育つ工芸品。
工芸品は、買った人だけのものではありません。後世へと受け継がれ、時を重ねながら、使う人が移り変わっていくものです。肥松は特に、時間とともに色が変化し、手をかければかけるほど存在感が増して、より美しくなります。これが日本の工芸の魅力ですよね。木は軽く丈夫で、熱を伝えにくい。使い勝手は良いです。だからこそ、生活に取り入れて、長く使い続けてもらえたら嬉しいですね。
近年、樹齢数百年の肥松の木は、ほとんど入手できなくなっているという。有岡さんの工房に残る肥松も、父の代に買ったものだ。技術を受け継いでいくことが難しくなっている今だからこそ、製品を大切に使い、世代を超えて受け継いでいくことが必要だ。
クラフト・アリオカ
〒761-8058 香川県高松市勅使町1007-1
TEL 087-866-8248
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