長年培った手の感覚を頼りに
組み上げる組手障子。
組手障子
岡野悟史(大井建具店)
接着剤や釘を使わず、溝を彫った板材を組んで様々な幾何学模様を表現する組手(くで)障子。伝統工芸士・岡野悟史さんはこの道28年。高松市西植田町の大井建具店の一職人として、お客さんからの要望に応えている。「時には『この写真の通りに作って』という注文もあり苦労することもあります」とは言うものの、そうした仕事を積み重ねてできることが増えていくのは楽しい、と笑顔を見せる。
組手障子ならではの手間と価値。
父も建具職人だったので幼い頃から仕事を見ており、自然と職人を目指していました。組手障子が完成するまでには、決まった書式に設計図を描き、部品作って組み上げ…と数週間はかかります。入社してすぐに会社で建具の全国大会に出品するということで、社員総出で制作をしました。その部品作りが最初の大きな仕事でしたね。組手細工は腕がないとできない、手間も時間もかかる仕事。その分、思い入れのある方が注文してくださっていると思います。
繰り返し、手先に感覚を染み込ませる。
組手障子は地組み(格子状の土台)が肝心です。基本の部分ではありますが、溝幅が広すぎると組み合わせたときに板が緩むし、狭すぎると上手くはまりません。地組みがきついと後々図柄を表現していくときに木片を入れにくくなり、仕上がりにも影響します。間が空かずに、ちょうど思ったように組める溝の具合というのは、言語や数値では表せません。大切なのは自分の手の感覚。実際に溝に木片を通し、シュッとすべらせてみてあんばいを確認しています。
作業に没頭、挑戦の日々。
一番楽しいのは木片を組み入れている時間。思い通りにぴったりはまると嬉しいですし、一日があっという間に終わります。組手障子を作るには、組む技術だけでなく木を見る力も必要です。部材を効率よく、思い通りに仕上げるには裏表や木目の流れも考えないといけません。今挑戦しているのは立体の作品。サッカーボールのように六角形の小さな組手細工を組み合わせて球体を作ろうとしています。
組手障子は、入念な段取りと精緻な作業が求められる工芸品だ。思い描く図柄を表現するために、どこにどんな溝をどれぐらいの角度で彫ればよいかを計算し、材料を見極め機械で溝を彫り、集中して組み上げる。「喜んでもらえるものを作りたい」と語る岡野さん。その手さばきは淡々と無駄がなく、正確だ。
有限会社大井建具店
〒761-0445 香川県高松市西植田町1408-1
TEL 087-849-1228