大切なのは品質を保つこと。
継承してきたものを守り続けて。
欄間彫刻
朝倉準一(朝倉彫刻店)
寺社の屋根下や祭りの太鼓台などに施される伝統的な彫刻。とりわけ日本家屋に欠かせない欄間彫刻は、地域の名所や花鳥風月を立体的に盛り込んだ独自の世界感が魅力だ。その彫りは時に繊細、時に大胆に暮らしを彩っている。祖父までは宮大工だったという伝統工芸士・朝倉準一さんは6代目。様々な彫刻を手がけながらも、手に取りやすいアイテムも制作している。
後世に恥じない彫刻のために。
思い出に残っているのは高松市田村神社の素婆倶羅社(そばくらしゃ)の彫刻です。寺社彫刻は自分が死んだ後も長く残るもの。後世の人に笑われるような下手な仕事はできません。怖くもあり、難しいです。目標は亡き父ですが、何年かかっても超えられそうにない。欄間は日本家屋とセットですが、私自身が家を売るわけではないので難しいです。でも、必要なときに彫れる人として生き残っていないといけないと思っています。今が創業158年ですから、なんとか200年までは自分の目で見届けたいですね。
欄間としての美しさを考えて彫る。
最初の下絵の段階で、 頭の中では「ここは深く、 ここはくり抜いて」と立体の姿を想像しながら描いています。図案を何層に分けるかも熟慮しますね。固定される四隅はまだしも、中央部分を浮かせすぎると少しの力で折れてしまうので、強度を備えつつ細かく見せるよう工夫します。下から見上げてどう見えるかも大切です。きれいに彫るのがいいとは限らない。寺社などはある程度粗い方が映えることもあるし、光が当たって陰がどう出るかも考えます。
繰り返し手を動かし、感覚を掴む。
親方でもあった父は「見て盗め」の人。でも、結局ものづくりの究極は口で説明しても伝わらないんです。数値化したり言語化したりできない世界です。見て、実際に手を動かして感覚を覚えていくしかない。限られた時間で仕事をしている、ということを意識しています。段取りが悪くて進捗が遅くなっても、自分以外の誰かがやるわけにいきませんから。木ですから、間違えたり折れたりしたら後戻りできません。彫る時は雑念を入れず無心で集中しています。
朝倉彫刻店に入ると箸やボールペンがずらりと並んでいる。そのカウンターの奥の部屋で、座って作業をしているのが朝倉さんだ。若い時は自動車整備士を目指していたというが、実際にはものづくりの道へ。時間の使い方、道具の研ぎ方、そして、後世に残る誇りある仕事とはどんなものなのか。自問自答を繰り返しながら、父・理さんの背中を追っている。
朝倉彫刻店
〒760-0067 香川県高松市松福町1-3-44
TEL 087-821-2768
URL https://www.a-sakura.asia/asakura/shop/