時代は変わり一刀彫も変わる。
親子でつくる、心動かす軽やかなだるま。
讃岐一刀彫
山中竹志・小野希(山中象堂)
香川有数の観光地「こんぴらさん」。その参道筋にひときわ目をひく彫刻の店がある。讃岐一刀彫の山中象堂だ。3代目となる山中竹志さんは、店の奥の作業場で得意のだるまを彫り続ける。心地よい丸みに、ぎりりとした表情がいかにも微笑ましい。数年前には若き4代目の小野希さんがPOPだるまを考案し、カラフルな色柄でたちまち好評となった。父と娘、二人で取り組むものづくりの今を訪ねた。
次の世代に残るものづくりを。
小野)子どもの頃は店先で作業する職人がたくさんいました。私、国語や算数の授業があまり好きじゃなくて、「このおっちゃんたちは6時間も図工か。いいなぁ!」って(笑)。ものづくりが好きだったんでしょうね。職人は高齢化していますし、このままだと一刀彫は無くなってしまうのではという危機感もあります。だからこそ、次の世代に残していけるようなものを作っていきたい。まずは自分の技術を高めていきたいです。
時代とともに、親しみやすいだるまに。
小野)だるまは売れ筋ではありましたが、広い世代に手に取ってもらうにはもっと親しみやすい見た目にしてもいいのかな、と思っていました。練習彫りのときたまたま出てきた丸い節が面白いと思い、胴体を水玉模様にしてみたらどうかなと思い立ちました。
山中)ちょうど県産品コンクール※の時期だったので、自由にやってみたら、と後押ししました。ひと口に一刀彫と言っても、時代によって流行もあります。今売れるものは何かを考えることも職人にとって大切なことです。
※香川県主催の、地域性を活かした特産品のコンクール
そのものらしい表現を考えて。
山中)そのモチーフらしさをどう表現するか。だるまなら目は大きくにらみを効かせて。鼻は大きく、口はぎゅっと閉めて。彫ってみて、そのものらしさが出ているかを客観的によく観察します。そうして出来上がったものをお客さんに「これ、惚れたわ」と買ってもらえると、心に届いたんやな、とやっぱり嬉しいですよね。
小野)お客さんは作品をすごくよく見て選んでいます。クオリティを高くするのはもちろんのこと、その上でいい形、いい表情のものを作り続けていきたい。やはり職人ですから、自分が作りたいものというよりは、相手が欲しいものを、といつも考えています。いずれはどんな彫りの要望にも応えられるようになりたいです。同じことを長く続けている父の姿はすごいなと思いますね。
カンカンというノミ音が参道に響く。作業場は楠のさわやかな香りでいっぱいだ。竹志さんの横では、希さんが黙々と筆を走らせている。言葉を交わさずとも、二人の視線はどこか似通っている。変化をいとわず時代に応えること。目の前のものづくりを大切にしながら、一刀彫の未来を彫り進めている。
山中象堂
〒766-0001 香川県仲多度郡琴平町980番地
TEL 0877-73-3009
URL http://zoudou.jp