残るために変わっていく。
桶樽をもう一度暮らしの中に。

讃岐桶樽
谷川清(谷川木工芸株式会社)

庶民の暮らしに欠かせない道具として全国各地で作られていた桶や樽。しかしライフスタイルの変化に伴い、製造元は減少し香川県には2軒を残すのみとなった。その一つ谷川木工芸では、3代目の谷川清さんが考案した、桶樽の技術を応用した弁当箱やインテリアなどが評判を呼んでいる。両親で伝統工芸士の谷川雅則さん、典子さんと共に親子3人で力を合わせ全国からの様々なオーダーに応えている。

必死で作業をこなす日々を越えて。

他業種を辞めて家業を継ぐと伝えた時は、両親から猛反対されました。そこで「3カ月で作れるようになる」と啖呵を切って、そこからは振り返る間もなく必死の日々。ある時ふと振り返ると一通りの工程をこなせるようになっていた気がします。作り方やデザインで悩んでいると、時折夢を見ます。「あっ、できた」という感覚がある。翌日、その通りにやってみたら、案外解決したりするんです。

桶を再び、暮らしの中の必需品に。

昔、桶屋は今のコンビニぐらいたくさんあったようです。現在は全国で40〜50軒。一度淘汰された商品を再び売り込んでいくのは相当難しいなと実感しています。「なくてもいいもの」を「欲しいもの」「なくてはならないもの」に変えていきたいと思っています。一方で、現在はそもそも桶を作っている人が少ないから、何をやっても全部新しい挑戦になる、というのも面白いところです。

伝統にとらわれすぎず、変化していく。

伝統工芸品だからと伝統にこだわりすぎて、変化できなければ淘汰されていくと思います。桶は、この形状のものを指す一つのカテゴリ。その中に、湯桶や寿司桶、お櫃があり、私が作っているようなスツールがあってもいい。「桶はこうでなければだめ」という固定観念は炒らないと思います。必要以上にこだわりすぎず、先を見ながら、今までにない桶のあり方を提案していきたいと思っています。

しがらみや固定観念にとらわれることなく、自由に展開している谷川木工芸の桶樽。それゆえ斬新なオーダーも多いが「まず断らないこと」を大切にしている、と清さんは語る。一度は衰退した桶樽作りを現代のニーズに合う形で再興させ、「次の世代が桶屋をやりたいと思った時、桶屋で戦えるぐらいの需要を作りたい」と意欲的だ。


谷川木工芸株式会社
〒761-0704 香川県木田郡三木町下高岡1089-2
TEL 087-898-0564
URL https://www.kinoibuki.com/

香川で生まれるもの:つくるひと