好きだからこそ、どこにもないものを。
地域の想いと時代のニーズに応える獅子頭。
讃岐獅子頭
秋山賢二(工房蓮心)
「獅子舞王国」と称されることもあるほど独自の獅子舞文化をもつ香川県。県下の獅子組は約800組を数え、獅子頭と油単(ゆたん・胴布)のデザインも実に様々だ。そんな豊かな文化を支えている一人が、讃岐獅子頭の若き伝統工芸士・秋山賢二さん。根っからの獅子好き・祭り好きで、子どもの頃からの夢だった獅子頭の職人となって20年超。その確かな技術と柔軟な発想に、獅子組からの信頼も篤い。
はじまりは、獅子頭に惚れこんだ子ども時代。
小学生の頃から「お師匠はん(伝統工芸士だった故・松下芳夫氏)」の工房に入り浸って、フリーハンドで描く曲線に惚れぼれしていました。自分もいつか職人になりたいと懇願し、「5年は飯が食えん」と言われながらもようやく弟子入り。獅子頭は張子製なので、まず粘土の型を作らないといけません。粘土の先生にも付きながら手伝いから始めました。何年か経ったある時、師匠に「ほな、これ頼むわ」と言われ、認めてもらえたんだなと思いました。
先人の仕事に学び、今までの自分を超える。
師匠や先人の職人たちの獅子頭を直すこともあります。彼らの仕事ぶりは美しい。「後世の職人には負けない」という強い気概を感じます。自分も負けずにいい仕事をしなくてはと思わされます。獅子舞は神様に奉納されるものです。だからこそ、自分以上のもの、いつものキャパシティを超えたものを出し切っていきたい。その繰り返しが自分自身の成長につながっていると思います。
まだ世の中にないものを作りたい。
目の色、耳や前髪の毛色、歯の形、眉毛や鼻の形…。どの獅子組も他とは違った獅子頭を作りたいという思いが強いので、そんな期待や要望に応えたいと思っています。「できん」と言ったら負けですね。他所とは違うものを作っていきたいです。獅子頭に限らず、祭りに必要なものは何でも作ります。油単やはっぴの図案を一から一緒に考えることもありますし、天狗面や花笠なども作ります。
代々の家業を継ぐ職人が多い中で、外から飛び込んだ秋山さんのような職人はごく稀だ。各地の獅子頭や油単を写真や冊子にアーカイヴし、それらの資料を基に新たなデザインを提案して、獅子組の若手たちの期待に応えていく。時代を映し出すものづくりを通して、獅子舞文化発展の一翼を担っている。
工房蓮心
〒765-0040 香川県善通寺市与北町
TEL 090-4789-4963