大事な想いを張子に込めて
味わい深く、自分らしく。

高松張子
乃村七重(乃村玩具)

子どもの健やかな成長を願う親心が込められた高松張子。手描きならではの素朴なタッチが魅力で、手に取ってみるとその愛らしさにほっと心がほぐれる。庶民に長く愛されてきたわけだ。伝統工芸士・乃村七重さんは、先代の意匠を受け継ぎつつも、自分らしい張子作りに取り組んでいる。生きいきとした色づかいと柔和な顔立ち。のんびりと穏やかな乃村さんの人柄を映し出しているようだ。

誰でも作れる張子だからこそ、自分らしく。

張子は庶民のおもちゃですから、本来は誰でも作れるものです。昔から、身近にある素材を使って好きなように作られてきました。だからこそ、私は自分が本当に気に入ったもの、心から「いいな」と思えるものを作りたいと思います。職人でありながら作家でもあるという感じでしょうか。
張子には子どもの健康や安全を守りたいという親心も込められています。その想いも大切にしたいですね。

手作りの味わい深さを感じてほしい。

父が張子職人だったので仕事に馴染みはあったし、絵を描くのも好きなので継ぐのは自然なことでした。制作には高知県の土佐和紙や中力粉を炊いた糊などを使っています。ただかわいらしいだけではなく、味のあるものを作りたいですね。形の作り方、色の組み合わせ、絵付けの表情などどこか自分らしさを表現したいと思っています。手作りの価値・良さを感じていただきたいです。

讃岐らしいものづくりを。

最近は戦前に普及した高松だるまを復元しています。空襲を耐え抜いたものを私なりに復刻してみました。やはり昔から愛されてきたものの魅力に惹かれるのだと思います。若い時には地元が嫌いと思ったこともありますが、今ではせっかく讃岐に生まれたのだから讃岐らしいものづくりをしたいと思っています。「玉取り海女」の辰など、地元の伝説にヒントを得ることも。これからも昔の面白いものや一度途絶えてしまったものを復活させていきたいですね。

「奉公さん」や招き猫、干支、だるまといった定番モチーフの張子のみならず、小さな獅子頭やお面など次々に品物を見せてくれた乃村さん。そのどれもが愛らしく魅力的で、大切に並べておきたくなるようなものばかり。特に昔ながらのモチーフの復刻には意欲的で「これからも高松張子を広めたい」と語る。


乃村玩具
〒760-0049 香川県高松市八坂町3-4
TEL 087-821-8442

香川で生まれるもの:つくるひと